関東財務局長(金商)第1757号 Aristagora Advisors
プライベートバンクの発祥は、スイスと言われています。
11世紀の十字軍まで遡るという説もありますね。
スイスのプライベートバンクにもルーツは2つあります。
それが「ジュネーブ系」と「チューリッヒ系」です。
これ以外にもオーストリアやリヒテンシュタインなど、地域によってプライベートバンクの成り立ちは違います。
いずれにせよ、何百年という歳月をかけて資産を守り、増やしてきた伝統があるのです。
スイスが「永世中立国」として知られている事実は、スイスのプライベートバンク業界の発展に直接的な因果関係はありません。
ですが、顧客側から考えれば無関係とは言えませんね。
ウィーン議定書とは
1815年にオーストリアのウィーンで開催された国際会議で合意された重要な文書です。この議定書は、ナポレオン戦争後のヨーロッパにおける新しい秩序を確立し、各国の緊張や国際関係を整理するのために作られました。
簡単に言えば、ウィーン議定書は「戦いのルールブック」であり、ヨーロッパ諸国が戦争の後にどの国がどの地域を支配し、どの国が友好的な関係を築くかを決めるための取り決めです。
そうですね。
スイスは武力紛争に巻き込まれず、その地理的位置と中立性が、多くの国々や個人にとって安全な避難所としてのスイスを確立しました。
島さんは法学部のご出身でしたね。
そうです。まさしく銀行法はそのひとつでしょう。
一番大きい要因となる金融プライバシーの保護が、今おっしゃった法律に関すること。スイスは、個人の金融情報を守るために独自の法律と規制を備えています。
まず1934年に制定された「スイス銀行法(銀行法)」により、銀行は顧客の金融情報を外部に漏らすことが禁止されています。そして1992年に、個人のプライバシーを保護するためにデータ保護法が制定され、金融情報はさらに慎重に扱われるようになりました。法制化されたのは今述べた通り20世紀に入ってからですが、実際にはプライベートバンクの発祥当時からの文化なんですよ。
実はスイスの銀行法は、その理念は厳しいのですが、実務的には他の国に比べると自由度が高く、行政指導も銀行の自由度の高さを尊重しています。
これは日本の金融庁と金融機関との関係とは正反対です。
スイスにおける銀行業界全般を規制し監督する法律です。この法律は、銀行の運営、組織、ディレクター、および取引に関する規則を定めています。この法律は金融システムの安定性を確保し、銀行業務の信頼性を高めるために制定されました。
また、銀行の顧客の金融情報の秘密を守るための法の基盤となっています。スイス銀行法は銀行業界全体に適用され、金融機関が顧客のプライバシーを守るための重要な要素です。
制定年月日: 1934年11月8日 (最新の改訂は2015年)
ソース: Swiss Banking Act (1934)
https://www.admin.ch/opc/en/classified-compilation/19340083/index.html
この法律は個人のデータプライバシーを保護するために制定されました。金融機関を含む組織は、顧客のデータを慎重に取り扱う責任を負っており、外部に漏れないように厳格に管理されています。これは金融業界におけるプライバシー保護にも適用され、銀行は顧客の金融情報を慎重に取り扱う必要があります。
制定年月日: 1992年6月19日
ソース: Swiss Federal Act on Data Protection (1992)
https://www.admin.ch/opc/en/classified-compilation/19920153/index.html
そして、スイスのプライベートバンクが自ら誇っているところとして、
1.歴史の長さ
2.変わらないサービスの質
3.単なる運用サービスではなく、顧客家族との繋がりの強さ
この3点をよく話題にします。
スイスの伝統的なプライベートバンクにおいて主流の組織形態です。
発祥時からつい最近まで、プライベートバンクを保有しているファミリー(パートナー)が無限の責任を負って業務を保証してきています。
それは、言い換えれば決していい加減な経営が出来ないということです。
「参照元:日本銀行HP」https://www.boj.or.jp/about/education/oshiete/pfsys/e24.htm
一般的にはあまりなじみのない言葉ですよね。
バーゼルは、ジュネーブ・チューリッヒに続く第三の都市として名前は知っていましたが、このように重要な常設事務局が置かれる場所とは......
そして3つ目が二国間協定です。
スイスはEUに加盟することなく、各国と特別な関係を築いてきました。
スイスは多くの国と国際的な二国間協定を締結しています。これらの協定は、資産管理に関して二重資金を回避するために役立ちます。
スイスの銀行が顧客の国と協力し、税金を効果的に管理できるようになり、国際的な資産管理をサポートしています。
はい、2023年9月20日現在、スイスは137の国と二国間協定を締結しています。
経済連携協定(EPA):11カ国
自由貿易協定(FTA):4カ国
租税条約:122カ国
合計すると、137カ国となります。
子孫のために守るお金が、ヨーロッパの富裕層の資産の中核を成すお金です。
ファミリーで営む事業に適正な予算を回しながら、数百年先の一族の未来を見据えて資産管理をしてきます。無頓着なのではなく、大事だからこそ信頼できるプロを見定めて一任するんです。運用で重視するのも「増やす」より「価値を減らさないこと」ですが、求めるレベルは低くないですよ。
社会のためにお金を使うのも、結果として一族の価値を高めることに繋がります。
二国という数の少なさは柔軟性が高いですし、双方のより納得できる協定になりますね。
ありがとうございます、勉強になりました。